北アルプスの山裾、長野県小谷村。車の通わない山道を1時間半歩いたところに真木共働学舎はある。生きることの根源的な意味を考える「共に働く学び舎」として創設され、今の社会に肉体的・精神的な生きづらさを抱える人も、そうでない人も、だれもが固有に持つそれぞれの能力を尊重しあい暮らしている。春・夏・秋・冬...40年。くり返されるその営みは、誰にもある生きものとしての人間の時間を思い起こさせる。
公式サイト:arayashiki-movie.jp
セネガル共和国トゥーバ・トゥール村はみんな大家族。12才のモードゥ君は草むらでの相撲やサッカーが大好き。学校には農作業や牛追いの手伝いの合間に通う。おたまじゃくしの大群とともに雨季に入り、バオバブに新緑が芽生えると同時に種まきが始まる。収穫を祝うお祭りはひときわにぎやかだ。きっとこれが大地の時間としてずっと続いてきたのだろう。
「星の王子さま」の作家・サンテグジュペリは、空の上からバオバブをみて"さかさまの木"として登場させました。この「バオバブの記憶」では、地上からバオバブをみて、"千年の木"として人々の暮らしにとけ込んでいる姿を描いています。
ナミイこと新城浪、85歳。9歳で那覇のお座敷に身売りされて以来、彼女の人生はずっと歌と三線と共にある。鍛え抜かれたレパートリーは、島唄だけにはとどまらず、童謡、軍歌、歌謡曲まで、"人間ジュークボックス"と呼ばれるほど。 彼女の願いは唄って遊んで人を喜ばせながら、ヒャクハタチまで生きること。そんなナミイが三線片手に旅に出た!お座敷時代の旧友と再会しては歌い、与那国クブラバリで、命を落とした女たちのために歌う。50年ぶりの台湾ではハンセン病療養所の人たちとの歌遊び...。ひとたびナミイと唄ってみれば、誰もがその歌三線の世界に引き込まれていく。さあさ、あなたもご一緒にナミイの歌と旅の物語。はじまりはじまり?!
ベルリン映画祭を始め、世界各国で好評を博した『ナージャの村』から5年。写真家・本橋成一と音楽家・坂本龍一と組んで〈泉〉を主題としたドキュメンタリーを完成させた。舞台となる〈泉〉は、1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発(旧ソ連・現ウクライナ共和国)の爆発事故で被災したベラルーシ共和国東南部にある小さな村ブジシチェにある。この村の学校跡からも、畑からも、森からも、採集されるキノコからも放射能が検出されるが、不思議なことに、この〈泉〉からは検出されない。「なぜって?それは百年前の水だからさ」と、村人たちは自慢そうに答える。この百年、人間は何の豊かさを求めてきたのだろう。《水の惑星=地球》の強い意志のようにこんこんと湧く〈泉〉は、私たちに"本当の豊かさとは何か"を静謐に語りかける。
ベラルーシ共和国ゴメリ州ドゥヂチ村。チェルノブイリ原発事故で汚染された小さな村。皮肉にも、放射能に汚染された村は、原子力の恩恵を受けない生活を続ける村だ。政府からの立ち退き要請で、村は地図から消えてしまった。村の3ケ所の入口はゲートで遮断され、 外部の人間は許可証がないと入れない。それでも故郷を離れず、汚染された村に残る6家族がいる。ユートピアのように美しい村。四季が移ろう。麦やじゃがいもを育て、きのこを採り、詩を口ずさむ。美しく厳しい自然とともに、大地に根ざして生きる彼らの暮らしは、豊かさとは何かということを私たちに教えてくれる。本橋成一が、写真家ならではの美しい映像で綴る、いのちの大地の物語。